ステージ4と告知されたら知っておきたい最新がん治療と医療機関のはなし
ここでは、さまざまなタイプのがんの治療薬として利用されているシスプラチンについて、その作用や特徴、用法、注意点、副作用などを解説します。
睾丸腫瘍、膀胱がん、腎盂・尿管がん、前立腺がん、卵巣がん、肺がん、胃がん、悪性リンパ腫など、非常に多くのがんに対して効果が確認されているシスプラチン。高いがん治療効果が期待される薬ですが、その効果や副作用の程度については患者個人によって異なります。シスプラチンの特徴を正しく認識したうえで、主治医とともにがんに立ち向かいましょう。
シスプラチンは、主に次の癌を患う患者に対し、治癒・延命・症状緩和などの効果を持つ薬です。
なお、患者の全身状態や他の治療内容により、上記の癌であってもシスプラチンが使用されないことがあります。また、がん以外の疾病に対してもシスプラチンが使用されることがあります。
シスプラチンは、同名の「シスプラチン」を有効成分とします。
いずれの種類の癌においても、注射によりシスプラチンを投与します。薬剤(有効成分)の投与量や投与頻度、休養期間などについては、癌の種類や患者の状態により異なります。
シスプラチンを投与中の患者のほぼ全例において、悪心・嘔吐・食欲不振等の消化器症状が見られます。投与に際し、医師は患者の状態をよく観察し、必要に応じて適切な処置を行うようにします。
シスプラチンを投与中の患者の中に、急性腎不全等の腎障害や骨髄抑制等の重篤な副作用が見られることがあります。投与に際し、医師は頻繁に患者の臨床検査を行うとともに、異常が認められた場合には、減量や休薬、投与中止等の適切な処置を行うようにします。
シスプラチンの服用に際し、以下の対象者については注意を要します。
シスプラチンは次の治療法や成分などとの併用により、相互作用が起こる恐れがあります。投与に際し、主治医には十分な注意・観察が求められます。
骨髄抑制を増強することがあります。
胸部への放射線照射を併用した場合、重篤な皮膚炎、食道炎、嚥下障害、肺臓炎などが発現したとの報告があります。
パクリタキセルの前にシスプラチンを投与した場合、パクリタキセルの血中濃度が上昇して骨髄抑制が増強する恐れがあります。
腎障害が増強する恐れがあります。
聴器障害が増強する恐れがあります。
聴器障害が増強する恐れがあります。
シスプラチンとの併用でフェニトインの血漿中濃度が低下したとの報告があります。
シスプラチンの投与にともなう重大な副作用として、以下のものが報告されています。投与に際し、これら症状が認められた場合には、投与を中止するなどの適切な処置が必要です。
急性腎不全などの重篤な腎障害の発現に備え、頻回に臨床検査を行って患者の状態を確認する必要があります。数値に異常が認められた場合には、シスプラチンの投与を中止して適切な処置を施す必要があります。
汎血球減少、貧血、白血球減少、好中球減少、血小板減少等が現れることがあるので、頻回に血液検査等を行うとともに、異常が認められた場合にはシスプラチンの減量、休薬、中止などの適切な処置を行う必要があります。
ショック、アナフィラキシー様症状が発現することがあるため、投与に際しては観察を十分に行うとともに、チアノーゼや呼吸困難、胸内苦悶、血圧低下等の症状が認められた場合には、シスプラチンの投与を中止して適切な処置を行います。
その他にも、聴力低下・難聴、耳鳴、うっ血乳頭、球後視神経炎、皮質盲、脳梗塞、一過性脳虚血発作、溶血性尿毒症症候群、心筋梗塞、狭心症、うっ血性心不全、不整脈、溶血性貧血など、多くの症状がシスプラチンの重大な副作用として報告されています。
また、「重大な副作用」には含まれていないものの、「その他の副作用」に含まれている症状も多くあります。
シスプラチンの投与における副作用についての詳細を知りたい方は、主治医に直接確認してください。