ステージ4と告知されたら知っておきたい最新がん治療と医療機関のはなし
ここでは、癌の治療薬として用いられているタキソールについて、その効果や用法・用量、注意点、相互作用、副作用などの情報をまとめています。
卵巣癌や肺癌、乳癌、胃癌など、さまざまな癌の治療効果が期待されているタキソールですが、その効果の程度や副作用などについては、患者個人により異なります。タキソールの特徴を正しく理解したうえで、主治医とともに癌の治癒を目指していきましょう。
タキソールは、主に次の癌を患う患者において、治癒・延命・症状緩和などの効果を持つ薬です。
なお、患者個別の治療内容や全身状態の違いにより、上記の癌であったとしてもタキソールが使用されないことがあります。また、癌以外の病気の治療においてタキソールが使用されることもあります。
タキソールは「パクリタキセル」を有効成分とします。
癌の種類により、タキソールの用法・用量が異なります。
たとえば卵巣癌の場合には、通常、パクリタキセルとして、1日1回210mg/m2(体表面積)を3時間かけて点滴静注し、のち少なくとも3週間休薬。これを1クールとし、投与をくり返します。または、カルボプラチンとの併用で、1日1回80mg/m2(体表面積)を1時間かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続。これを1クールとして、投与をくり返します。
どのような用法・用量となるかについては、主治医から個別で説明を受けるようにしてください。
タキソールの使用により、骨髄抑制等の重篤な副作用を生じることがあります。使用にあたり、医師は頻回に臨床検査を行うとともに、かりに異常が見られた場合には、速やかに適切な処置を行います。
タキソールの使用により、呼吸困難、胸痛、低血圧、頻脈、除却、好調、血管浮腫、発汗などの従毒な過敏反応を生じることがあります。タキソールの使用が原因と推定される過敏反応が認められた場合には、医師は速やかに本剤の投与を中止し、適切な処置を行います。
上記のほか、高血圧、関節痛、筋肉痛、発熱、末梢神経障害、感染症、出血傾向などの症状が認められます。使用に際しては、担当医師による細やかな観察が必要です。
タキソールの使用に際し、以下の対象者については注意を要します。
タキソールは、次の薬剤とアルコール反応(顔面潮紅、血圧降下、悪心、頻脈、めまい、呼吸困難、視力低下等)を起こす恐れがあるため、併用は禁忌とされています。
また、次の治療や薬剤との併用する際にも、十分な注意が必要です。
併用により、骨髄抑制等を増強する恐れがあります。また、胸部への放射線照射を併用した場合、重篤な食道炎や肺臓炎が発現したとの報告があります。
併用により、骨髄抑制等を増強する恐れがあります。
併用により、末梢神経障害が増強する恐れがあります。また、シスプラチンの後に本剤を投与した場合、逆の順序で投与したときよりも骨髄抑制が増強する恐れがあります。
他にも、ドキソルビシン塩酸塩やビタミンA、アゾール系抗真菌剤(ミコナゾール等)、N-メチルテトラゾールチオメチル基を有するセフェム系抗生物質など、併用に注意すべき成分が多くあります。
タキソールの使用によって起こりうる重大な副作用として、主に次のようなものが挙げられています。タキソールの使用が原因と思われるこれら症状が認められた場合、担当医師には速やかかつ適切な処置が求められます。
呼吸困難、胸痛、低血圧、頻脈、徐脈などのショック、アナフィラキシー様症状が認められることがあります。
白血球減少、好中球減少、貧血、ヘマトクリット値減少、赤血球減少、血小板減少などが、比較的高い頻度で発現します。
しびれ等の末梢神経障害をはじめ、麻痺や片麻痺、全身麻痺などの症状が現れることがあります。
これらの他にも、重大な副作用として、間質性肺炎、肺線維症、急性呼吸窮迫症候群、心筋梗塞、うっ血性心不全、心伝導障害、肺塞栓、血栓性静脈炎、脳卒中、肺水腫、難聴、耳鳴りなど、多くの症状が報告されています。
また重大な副作用には属さないものの、「その他の副作用」としても多くの症状が報告されています。
副作用の現れ方や程度は、患者個人によって異なります。ご自身に関連する副作用の詳細を知りたい方は、主治医に直接確認しましょう。