ここでは、卵巣がん、非小細胞肺がん、乳がん、胃がんなどに使用される抗がん剤「パクリタキセル」について、その作用、使い方、注意点、副作用を詳しく説明します。使用にあたっては、正しい知識を身につけた上で、主治医と相談しながら治療に向き合っていくことが大切です。
パクリタキセルは、がん細胞の分裂に関わる「微小管」という構造を安定させることで、がん細胞の分裂を止める抗がん剤です。2025年現在、日本国内で保険適用されている主な対象疾患は、卵巣がん、非小細胞肺がん、乳がん、胃がん、子宮体がん、頭頸部がん、食道がん、血管肉腫、胚細胞腫瘍、子宮頸がんなどです。
なお、がんの種類や進行度、患者さんの全身状態によっては、これらのがんに対してもパクリタキセルが使用されない場合があります。また、治療目的以外で使用されることもあり、その際には臨床試験や医師の判断に基づく保険適用外の使用(いわゆるオフラベル使用)となります。
市販されている「パクリタキセル注30mg/5mL『NK』」には、有効成分としてパクリタキセル30mgが含まれています。
パクリタキセルの使い方は、治療するがんの種類や患者さんの状態に応じて、A法からE法に分類されます。
A法は、体表面積1m²あたり210mgを3時間かけて点滴静脈注射します。治療間隔は3週間以上空けて繰り返します。
B法は、1m²あたり100mgを1時間かけて点滴し、週1回のペースで6週間続けた後、2週間以上間隔を空けて再開します。
C法は、1m²あたり80mgを1時間で点滴し、3週間連続で週1回投与し、その後クールを繰り返します。
D法では、1m²あたり135mgを24時間かけて点滴投与し、3週間以上間隔を空けて投与します。
E法は、C法と同様に週1回80mgを3週続けた後、少なくとも2週間の休薬期間を設けて再投与します。
用法の選択は、例えば非小細胞肺がんや子宮体がんにはA法、乳がんにはA法またはB法、卵巣がんではA法またはカルボプラチンとの併用でC法が用いられます。
胃がんではA法またはE法、再発または難治性の胚細胞腫瘍では他の薬剤との併用でA法、頭頸部がんや食道がん、血管肉腫にはB法が使われています。子宮頸がんでは、シスプラチンとの併用においてD法が選ばれることがあります。
なお、投与量は患者さんの体調や副作用の出方に応じて調整されます。
パクリタキセルは、従来型の製剤ではエタノールを含むため、注射後は車の運転や危険を伴う作業は控える必要があります。ただし、2010年以降から仕様が開始されたアルブミン懸濁型(商品名:アブラキサン)にはエタノールが含まれていませんので、製剤によって事情が異なります。処方された薬剤の種類について医師に確認してください。
治療中および治療後6か月間は、避妊を継続する必要があります。妊娠中や授乳中の使用は避けるべきとされています。
また、パクリタキセルは骨髄に影響を与えることがあり、白血球の数が減るなど感染症へのリスクが高まるため、体調の変化には注意が必要です。
パクリタキセルにより現れることがある副作用には、以下のようなものがあります。
アレルギー反応として、皮膚のかゆみやじんましん、喉の違和感、息苦しさ、動悸、顔の腫れなどがみられることがあります。これらはアナフィラキシーに近い反応であり、使用前にはステロイドや抗ヒスタミン剤を事前に投与する場合があります。
白血球が減少することにより、高熱や寒気、喉の痛みが出ることがあります。また、骨髄の働きが抑えられることで、感染しやすくなったり、出血しやすくなったり、息切れや疲れやすさが現れることがあります。
手足のしびれや痛み、力が入りにくい、物をつかみにくい、階段の上り下りがしにくくなるなどの末梢神経の障害も見られることがあります。
そのほかにも、まれではありますが、麻痺、間質性肺炎、肺線維症、急性呼吸窮迫症候群、心筋梗塞などの症状が起こることがあります。心筋梗塞については報告例があるものの非常に稀なため、必要以上に不安になる必要はありませんが、万が一の際には速やかに医療機関を受診してください。
気になる症状がある場合や、副作用について詳しく知りたいときは、必ず主治医に相談するようにしてください。
パクリタキセル製剤と呼ばれるものはいくつかありますが、その中でも注目されているのが「ナブパクリタキセル(商品名:アブラキサン)」です。これは、アルブミンというタンパク質にパクリタキセルを結合させた製剤で、「アルブミン懸濁型パクリタキセル」とも呼ばれています。
従来のパクリタキセル製剤では、薬を溶かすためにポリソルベート80やエタノールが使用されていましたが、アブラキサンにはこれらの添加物が含まれていません。そのため、点滴中や投与後に起こるアレルギー反応のリスクが比較的低くなっており、前もってステロイドや抗ヒスタミン剤を投与する「前投薬」が不要とされる点が大きな特徴です。
ナブパクリタキセルは、2025年時点で乳がんや非小細胞肺がん、膵がんなどに対して使用が認められており、特に膵がんではゲムシタビンとの併用療法として広く使われています。また、アルブミンを介したがん組織への選択的な送達が期待されており、副作用を抑えつつ効果的な治療を目指せるとされています。
ただし、すべての患者に適しているわけではなく、効果や副作用の現れ方には個人差があります。どの製剤を使用するかは、がんの種類や進行度、体の状態をふまえて主治医が判断します。治療方針について不安や疑問がある場合は、遠慮なく医師に相談することが大切です。
当サイトでは、保険診療で受ける「抗がん剤治療」と、自由診療で受ける「トモセラピー」や「樹状細胞ワクチン療法」でステージ4のがんを治療する方法について紹介しています。がんの進行度により、医師と相談して検討しましょう。
画像引用元:クリニックC4公式HP
(https://cccc-sc.jp/)
痛み・副作用の少ない放射線療法
放射線治療のトモセラピーに特化したクリニックで、重粒子線、陽子線などの先進医療での治療を断られた方にも、ステージ4で「手立てがない」と言われた方にも、身体に優しいがん治療をお探しの方にも、痛み・副作用の少ない治療を行います。薬剤との併用により、より積極的な治療を行うことも可能です。
所在地 | 東京都渋谷区元代々木町33-12 |
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電話番号 | 03-6407-9407 |
画像引用元:銀座鳳凰クリニック公式HP
(https://www.ginzaphoenix.com/)
患者の細胞からワクチンを作製
免疫細胞を研究している院長のもと、免疫の司令塔である樹状細胞を使ってがん免疫療法を行っているクリニックです。患者様専用のワクチンを作るイメージで、治療の手立てがないと言われた患者様へも提供可能な治療法です。しっかりと寄り添って治療を進めていく姿勢も、治療を選択する要因になっているようです。
所在地 | 東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDXビル北ウィング6F |
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電話番号 | 03-6263-8163 |
画像引用元:がん研有明病院公式HP
(https://www.jfcr.or.jp/hospital/)
新しいがん治療薬の導入に積極的
抗がん剤による薬物療法が進む中、「先端医療開発科」が創設され、新しいがん治療薬での治療をいち早く受けられるよう、早期臨床開発を推進している病院です。幅広い知識と経験を持つ専任医師とスタッフが、それぞれの患者様に合った臨床試験を提案し、これまでの薬では治らなかったがんの治療に取り組んでいます。
所在地 | 東京都江東区有明3-8-31 |
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電話番号 | 03-3520-0111(大代表) |