悪性リンパ腫の概要や原因、検査方法、転移、治療方法などについて説明します。
悪性リンパ腫は、白血病とは異なる血液のがんの一種。白血球を構成するリンパ球ががん化し、リンパ節をはじめとした全身のあらゆる場所に病巣が発生する病気です。
年単位でゆっくりと進行するタイプもあれば、週単位で急速に進行するタイプもあるため、適切な治療を行うためにはタイプを的確に診断することが重要です。
※2023年5月時点の情報をもとに作成しています。
悪性リンパ腫とは、白血球の一部ががん化した病気のこと。いくつかの原因が報告されていますが、原因の全容は不明なままです。
以下、悪性リンパ腫の概要や原因、検査方法について説明します。
悪性リンパ腫とは、白血球の1つであるリンパ球ががん化した病気です。
白血球にはリンパ球、好中球や単球、好酸球、好塩基球の5種類がありますが、これらのうちリンパ球ががん化し、無制限に増殖する状態を悪性リンパ腫と言います。
悪性リンパ腫が発生する場所は主にリンパ節ですが、ほかにも、脳や皮膚、目、鼻腔、甲状腺、肺、胃、腸、骨髄、肝臓など、全身のあらゆる部位で発生する可能性があります。発生した部位、または転移した部位により、症状はまったく異なります。
悪性リンパ腫の原因には複数あることが分かっていますが、その全容は解明されていません。
すでに明らかとされている主な原因の1つが、染色体の異常。悪性リンパ腫における染色体異常の原因には、加齢や慢性炎症、放射線の被ばくなどが関与していると言われていますが、明確な関連は確認されていません。
なお、悪性リンパ腫における染色体異常は、親から子へ遺伝するものではありません。
悪性リンパ腫のもう1つの主な原因が、ウイルス・菌への感染。ウイルスについては、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)が悪性リンパ腫を引き起こすことがあると報告されています。また菌については、ピロリ菌の感染による慢性胃炎がルト(MALT)リンパ腫に関与していると言われています。
後者については、ピロリ菌の除去により悪性リンパ腫が小さくなることもあります。
悪性リンパ腫の検査方法には、大きく分けて「病理検査」と「全身状態検査」の2つがあります。
しこりのあるリンパ節を切り取り、リンパ節生検を行います。または、腫瘍の一部を切り取り、腫瘍生検を行います。切除は麻酔下で行われるため、痛みは伴いません。
悪性リンパ腫かどうかの特定、および病型分類を行う上で重要な検査となります。
悪性リンパ腫の広がりの確認、および、治療の可能性の確認のため、以下の方法により全身状態が検査されます。
血液検査と尿検査を通じ、肝機能や腎機能の現状を確認します。治療への耐性や、治療において注意すべき副作用などを特定することが目的です。あわせて、原因の特定や合併症リスクの低減のため、B型肝炎ウイルスなどの感染状況も調べます。
胸部X線検査や超音波検査(エコー検査)、CT検査、MRI検査、PET検査など、画像を通じて全身状態を確認します。
腰や胸などの骨に針を刺し、骨髄液を吸引して生検を行います。がん細胞が骨髄まで浸潤している可能性がある際に行われる検査です。
消化管の内視鏡検査を行います。消化管に病変が及んでいる可能性がある際に行われる検査です。
腰椎に針を刺し、脳せき髄液を吸引して生検を行います。悪性リンパ腫が脊髄まで及んでいる可能性がある際に行われる検査です。
悪性リンパ腫は、リンパ系組織(リンパ節やリンパ液、胸腺など)に発生するタイプとリンパ外臓器(節外臓器)に発生するタイプがありますが、どちらのタイプでも転移する可能性があります。
以下、悪性リンパ腫が転移しやすい場所の例、転移した場合の主な症状を見てみましょう
悪性リンパ腫は全身のどこにでも発生する可能性がありますが、仮に横隔膜より上の1か所のリンパ節に生じた場合、やがて横隔膜より上にある別のリンパ節へと転移します。原発した部位が横隔膜より下のリンパ節であれば、横隔膜より下にあるリンパ節へ転移します。横隔膜をはさんだ上下のどちらかに転移した状態がステージⅡです。
さらに状態が進行し、横隔膜を超えて上下のリンパ節に転移。この状態がステージⅢです。ステージⅣになると、リンパ節を超えて臓器や皮膚、骨髄、血液中など、全身に広くがん細胞が転移します。
悪性リンパ腫は、転移した場所の特徴により症状も異なります。
リンパ節から別のリンパ節へ転移した場合、腫れやしこりなどが見られますが、初期段階では痛みなどをほとんど自覚しません。腫れた場所を指で押しても、特に痛みを感じないとされています。
やがて状態が進行し、腫れやしこりが全身へと広がると、発熱や体重減少、著しい寝汗などを自覚。腫瘤により血管や気道、脊髄などが圧迫されると、血流障害や気道閉塞、麻痺などが生じることもあります。
ステージⅣとなり様々な臓器へと転移すれば、臓器の特徴に応じた症状が現れることとなります。
悪性リンパ腫の主な治療法は、化学療法(抗がん剤治療)と放射線治療です。期待した治療効果が得られない場合には、さらに強度の抗がん剤が検討されたり、また、適応可能な患者には造血幹細胞移植などが行われたりすることもあります。
悪性リンパ腫はステージ(病期)の違いにより治療法が異なるため、詳細な検査を行ってステージを正確に特定することが大切です。
以下、悪性リンパ腫の主な治療法を見ていきましょう。
化学療法(抗がん剤治療)とは、注射・点滴・内服などの方法で、患者の体内に抗がん剤を投与する治療法のこと。悪性リンパ腫における中心的な治療法とされ、薬剤が患者にマッチすれば、がん細胞が小さくなるだけではなく、がん細胞が消滅することすらあります。
悪性リンパ腫に効果的とされる抗がん剤には多数ありますが、患者の病型により4~5種類に絞り込み。絞り込んだ抗がん剤を併用する形の「多剤併用療法」が基本となります。
投与の頻度は、3~4週間を1コースとして数コース実施。入院して治療を行う場合もあれば、外来で治療を行う場合もあります。
全コースの終了までに数か月を要しますが、この間、通常は様々な副作用が生じます。よく見られる副作用は骨髄抑制(骨髄機能の低下)、吐き気、嘔吐、口内炎、脱毛、発熱、下痢など。予測される副作用の種類に応じ、事前に副作用を抑えるための対策を検討した上で治療を進めますが、実際に現れた副作用の種類や程度によっては都度対処することもあります。
分子標的治療とは、がん細胞の増殖に関連する分子をピンポイントで攻撃する薬物治療のこと。上記の化学療法とあわせ、点滴や内服により分子標的治療を行います。
代表的な分子標的療法薬は「リツキシマブ」。リツキシマブは、リンパ球を構成する細胞の1つである「B細胞」に存在する分子「CD20」を攻撃する薬です。リツキシマブを投与することでCD20の働きを止めれば、がん細胞の増殖を抑えられることがあります。
リツキシマブのほかには、「イブリツモマブ チウキセタン」「レンツキシマブベドチン」「モガムリズマブ」「ボリノスタット」などの分子標的療法薬がありますが、これらは主に再発時で使用されています。
なお、分子標的治療にも副作用がありますが、リツキシマブの使用に際してはアレルギー症状に似た副作用が起こることもあります。肺障害や心臓障害にも注意が必要とされます。
放射線治療とは、X線を照射してがん細胞を直接破壊する治療法のこと。悪性リンパ腫の場合、Ⅰ期や初期のⅡ期に単独で行われることがあり、治療がうまくいけばがん細胞を消滅させられる可能性もあります。化学療法と併用して行われることもある治療です。
一般に、放射線治療では副作用を避けられませんが、その種類や程度には個人差があるので、副作用を一様に説明することはできません。主な副作用としては、放射線を照射した部位に生じる皮膚炎や粘膜炎など。また、全身症状として吐き気や嘔吐、食欲低下、白血球減少などが見られることもあります。
副作用の症状の強さに応じ、症状を緩和させる治療を行うこともありますが、たいていの場合は放射線治療から2~4週間ほどで副作用がなくなります。
造血勘細胞移植とは、化学療法や放射線治療などの後、事前に採取しておいた造血幹細胞を患者自身へ投与する治療法のこと。骨髄機能の回復を目的に行われる治療です。
標準治療を経ても再発可能性が高い場合、造血幹細胞移植が検討されます。
当サイトでは、保険診療で受ける「抗がん剤治療」と、自由診療で受ける「トモセラピー」や「樹状細胞ワクチン療法」でステージ4のがんを治療する方法について紹介しています。がんの進行度により、医師と相談して検討しましょう。
痛み・副作用の少ない放射線療法
放射線治療のトモセラピーに特化したクリニックで、重粒子線、陽子線などの先進医療での治療を断られた方にも、ステージ4で「手立てがない」と言われた方にも、身体に優しいがん治療をお探しの方にも、痛み・副作用の少ない治療を行います。薬剤との併用により、より積極的な治療を行うことも可能です。
所在地 | 東京都渋谷区元代々木町33-12 |
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電話番号 | 03-6407-9407 |
患者の細胞からワクチンを作製
免疫細胞を研究している院長のもと、免疫の司令塔である樹状細胞を使ってがん免疫療法を行っているクリニックです。患者様専用のワクチンを作るイメージで、治療の手立てがないと言われた患者様へも提供可能な治療法です。しっかりと寄り添って治療を進めていく姿勢も、治療を選択する要因になっているようです。
所在地 | 東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDXビル北ウィング6F |
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電話番号 | 03-6263-8163 |
新しいがん治療薬の導入に積極的
抗がん剤による薬物療法が進む中、「先端医療開発科」が創設され、新しいがん治療薬での治療をいち早く受けられるよう、早期臨床開発を推進している病院です。幅広い知識と経験を持つ専任医師とスタッフが、それぞれの患者様に合った臨床試験を提案し、これまでの薬では治らなかったがんの治療に取り組んでいます。
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電話番号 | 03-3520-0111(大代表) |
【選定基準】
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①放射線療法「トモセラピー」の治療実績と症例・・・クリニックC4
②免疫療法「樹状細胞ワクチン投与」の治療実績と症例・・・銀座鳳凰クリニック
③外来化学療法「抗がん剤治療」の治療実績と症例・・・がん研有明病院