外科手術、化学療法(抗がん剤)、放射線療法の3種類ががんの標準治療とされていますが、近年、「第4の治療法」として免疫療法が注目されています。
免疫療法とは、患者自身の免疫系の働きを活発化させることで、がん細胞への攻撃力を高める治療法のこと。免疫療法の登場により、従来は治療が難しいとされていた症例の治療が可能になるなど、がん治療に新たな地平が広がりました。
当記事では、免疫療法の基本的な概念、免疫療法が患者の生存率や生活の質(QOL)に与える影響、免疫療法の限界や課題などについて解説しています。
免疫療法とは、患者自身の免疫系の働きを活発にさせ、がん細胞をピンポイントで攻撃する治療法を言います。
免疫系には体内の異物や病原菌を排除する役割がありますが、がん細胞は正常細胞によく似ているため、免疫系からの攻撃を回避することがあります。この回避行動を解除し、免疫細胞(T細胞など)ががん細胞を認識して攻撃できるよう仕向ける治療が、免疫療法です。
がんの標準治療(手術・化学・放射線)と免疫療法との大きな違いは、外部の力を直接借りた治療法か否か、という点です。
外科手術や化学療法、放射線治療は、外部から何らかの侵襲や働きかけによってがん細胞を除去する治療法ですが、免疫療法は、患者自身の体内に存在する免疫力を利用してがん細胞を除去する治療法です。
免疫療法には、外部からの働きかけや侵襲がほとんどなく、正常細胞への影響も限定されるため、副作用が大きくなりにくいという特徴があります。治療後も免疫系によるがん細胞の監視機能が残存するため、がんの再発予防にも効果的と考えられています。
瀬田クリニック東京、および連携医療機関において免疫細胞治療を1クール(6回)以上行った患者1,198症例において、およそ半数の患者に、がんの縮小、あるは一定期間のがんの進行抑制が見られました。具体的には、「完全奏功」が1.4%、「部分奏功」が11.9%、「長期安定」が12.1%、「安定」が28.6%、「進行」が46%という結果を得られています。
参照:瀬田クリニック東京公式HP(https://www.j-immunother.com/case/record)
米国で行われた臨床試験では、進行した悪性黒色腫患者に対し、CTLA-4阻害抗体薬(イピリムマブ)で10年生存率が約20%、抗PD-1抗体薬(ニボルマブ)で5年生存率が約34%となりました。他の多くのがん種においても、10~20%の奏功率が確認されています。
参照:エムスリー公式(https://ph-lab.m3.com/categories/clinical/series/featured/articles/342)
免疫療法にも副作用は見られますが、一般に、患者の体に対する副作用の負担は、化学療法や放射線治療などに比べると軽微な傾向があります。
免疫療法の主な副作用は、発疹や疲労感、消化器系の不調、食欲不振など。患者によっては、自己免疫症状(関節痛や内臓障害など)が見られることもありますが、いずれの副作用でも、事前の治療計画に組み込まれた対症療法により管理が可能です。
免疫療法を受けることで、患者の中には腫瘍が縮小したり痛みが軽減したりする例が見られます(全員ではありません)。体力が回復し、日常生活へ復帰できるようになる患者も少なくありません。
もし、免疫療法により自覚症状が緩和されれば、患者は、治療前に比べて精神的な安定を得られるでしょう。精神的に安定すれば、次なる治療への希望も生まれやすくなるでしょう。
免疫療法により体調や精神面が安定すれば、患者の気持ちが前向きとなり、家族や知人との関係性にも良好な影響が生まれるでしょう。中には、体力が大きく回復して仕事復帰できるようになる患者も少なくありません。
家族・知人・職場などを通じ、再び患者の社会性が広がれば、患者は自己肯定感を得られやすくなります。生活に対する自信も生まれ、日々を前向きに過ごせるようになるでしょう。
多くのがん患者に対して効果を発揮する免疫療法ですが、その効果の高さには個人差があることを否めません。
効果に個人差がある主な理由は、患者の免疫系の状態や遺伝的要因、がんの種類などの違い。免疫療法は個人の免疫反応の強さに依存しますが、免疫反応の強さは個人の免疫システムや遺伝的要因により異なります。また、免疫逃避を行う種類のがん細胞に対しては、免疫療法の効果が限定的となります。
免疫療法は、がんに対する万能の治療法ではありません。その特性をよく理解し、専門の医師のアドバイスを踏まえて適切な治療法を選択する必要があります。
免疫療法のうち保険診療が適応される治療は限定されているため、もし希望の治療法に保険が適応されなければ、仮に高額療養費制度が適応されたとしても自己負担は高額になるでしょう。中には、全体で数千万円を要する免疫療法もあります。
仮に高額な自己負担を容認できたとしても、高度な免疫療法を受けるための病院へのアクセスが難しければ、治療を受けたくても受けられません。現実問題として、高度な免疫療法には地域差があることも理解しておく必要があります。
実装時に「免疫療法の限界と課題」下へ下記を追記免疫療法は今後さらに進化し、がん患者の生活の質を大きく改善する可能性を秘めています。その進化の中心には、AI(人工知能)や個別化医療の進展があります。
これまでの免疫療法は、多くの患者に希望をもたらしてきましたが、治療効果には個人差があり、全ての患者に同じように効果を発揮するわけではありません。しかし、AI技術の活用により、患者個々の遺伝子情報やがんの特性に基づいた治療法を迅速かつ正確に設計できるようになりつつあります。これにより、治療の成功率がさらに向上し、副作用も軽減されることが期待されています。
個別化医療では、患者ごとの腫瘍プロファイルや免疫系の状態を詳細に分析し、それに基づいた治療法を提供します。例えば、患者の腫瘍に特有のネオアンチゲンをターゲットとした個別化ワクチンの開発が進んでいます。このアプローチにより、免疫療法がより高精度で効果的になり、治療の選択肢が広がるでしょう。
新たな技術の導入により、免疫療法の治療プロセスが簡略化され、患者にとって負担が少ない治療が可能になると考えられています。また、AIによる副作用予測や管理が進むことで、副作用の発現を事前に防ぎ、治療の継続性を高めることが期待されています。
さらに、これらの進展により、免疫療法が現在治療が難しいとされているがん種にも適用可能になる可能性があります。また、治療のコストを削減し、アクセスの公平性を高める取り組みも進むでしょう。
免疫療法の未来は、単なる治療効果の向上にとどまらず、患者一人ひとりに合わせたケアを提供する医療の実現へと向かっています。技術と研究の進化がもたらす新たな可能性は、がん治療における次の一歩を大きく切り開くでしょう。
免疫療法の登場により、がん治療の見通しが大きく変わりました。従来の標準治療に比べて副作用の懸念も小さいことから、患者の生活の質(QOL)のさらなる向上も期待されています。
免疫療法には個人差や地域差という課題があるものの、今後のがん治療における主要な選択肢の1つとして、従来の標準治療に並ぶ重要性を示すことは間違いないでしょう。
当記事をきっかけに、ぜひ免疫療法の可能性に対する理解を深めはいかがでしょうか。
当サイトでは、保険診療で受ける「抗がん剤治療」と、自由診療で受ける「トモセラピー」や「樹状細胞ワクチン療法」でステージ4のがんを治療する方法について紹介しています。がんの進行度により、医師と相談して検討しましょう。
画像引用元:クリニックC4公式HP
(https://cccc-sc.jp/)
痛み・副作用の少ない放射線療法
放射線治療のトモセラピーに特化したクリニックで、重粒子線、陽子線などの先進医療での治療を断られた方にも、ステージ4で「手立てがない」と言われた方にも、身体に優しいがん治療をお探しの方にも、痛み・副作用の少ない治療を行います。薬剤との併用により、より積極的な治療を行うことも可能です。
所在地 | 東京都渋谷区元代々木町33-12 |
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電話番号 | 03-6407-9407 |
画像引用元:銀座鳳凰クリニック公式HP
(https://www.ginzaphoenix.com/)
患者の細胞からワクチンを作製
免疫細胞を研究している院長のもと、免疫の司令塔である樹状細胞を使ってがん免疫療法を行っているクリニックです。患者様専用のワクチンを作るイメージで、治療の手立てがないと言われた患者様へも提供可能な治療法です。しっかりと寄り添って治療を進めていく姿勢も、治療を選択する要因になっているようです。
所在地 | 東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDXビル北ウィング6F |
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電話番号 | 03-6263-8163 |
画像引用元:がん研有明病院公式HP
(https://www.jfcr.or.jp/hospital/)
新しいがん治療薬の導入に積極的
抗がん剤による薬物療法が進む中、「先端医療開発科」が創設され、新しいがん治療薬での治療をいち早く受けられるよう、早期臨床開発を推進している病院です。幅広い知識と経験を持つ専任医師とスタッフが、それぞれの患者様に合った臨床試験を提案し、これまでの薬では治らなかったがんの治療に取り組んでいます。
所在地 | 東京都江東区有明3-8-31 |
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電話番号 | 03-3520-0111(大代表) |
【選定基準】
「末期がん クリニック」でGoogle検索してヒットした医療機関上位35院中、治療実績と画像付き症例を公式HPに掲載しており、以下の各治療法におけるGoogleの口コミ評価がそれぞれ最も良い3院を抽出しています(2023年5月15日調査時点)。
①放射線療法「トモセラピー」の治療実績と症例・・・クリニックC4
②免疫療法「樹状細胞ワクチン投与」の治療実績と症例・・・銀座鳳凰クリニック
③外来化学療法「抗がん剤治療」の治療実績と症例・・・がん研有明病院