男性しか発症しないがんである、前立腺がんについての情報を掲載しています。
前立腺は膀胱のすぐ下に位置し、尿道を取り囲むように存在する男性特有の臓器です。前立腺に生じる病気には、細菌感染による前立腺炎、前立腺肥大症(良性)、そして前立腺がん(悪性)があります。
前立腺がんは進行が比較的ゆるやかである一方、初期には自覚症状がほとんどないため、進行してから発見されることが多いがんでもあります。進行に伴い、「尿が出にくい」「排尿回数の増加」「残尿感」など、排尿に関する不調が現れます。
2000年代以降、特に2003年以降に多くの自治体が健康診断にPSA(前立腺特異抗原)検査を導入したことにより、前立腺がんが無症状の段階で発見されるケースが着実に増加しています。
静脈から血液を採取し、PSAというたんぱく質の数値を測定します。PSA値が高い場合は前立腺がんの疑いがあるとされ、早期発見のための第一段階の検査として非常に重要です。
ただし、PSA値は前立腺肥大症や前立腺炎の場合でも上昇するため、この数値だけでがんと断定することはできません。
ただし、PSA値が低くても前立腺がんが見つかるケースもあるため、PASの数値を見ただけでは安心できません。
血液検査でPSA値に異常が見られた場合、医師が直腸から前立腺を触診し、状態を確認します。
また、肛門から細い超音波の機器を挿入し、前立腺の状態を画像で確認する経直腸的超音波検査(TRUS)が行われることもあります。この検査により、腫瘍が疑われる部分がないかを詳しく調べられます。
局所麻酔をしながら、細い針で前立腺を刺し、組織を採取して行う検査です。確定診断に不可欠であり、複数箇所から組織を採ることが一般的です。
がんの広がりや転移の有無を確認するために、MRIやCT、骨シンチグラフィなどの検査が行われます。PSMA PET/CTと呼ばれる新しい画像診断も一部で導入され始めています。
年齢が上がるにつれて前立腺がんの発症率は高まります。特に50歳を過ぎた頃から、前立腺の細胞に変化が生じやすくなり、がんが発生するリスクが高くなるとされています。
これは、加齢に伴って体内のホルモンバランスが変化し、前立腺の細胞がアンドロゲンという男性ホルモンからのの刺激を受けやすくなることが関係しています。
こうした変化により、がん化のリスクが年齢とともに増していくと考えられています。
親や兄弟など、血縁関係にある家族が前立腺がんを患ったことがある場合、自分自身も前立腺がんを発症する可能性が高くなることが知られています。
遺伝的な体質や体内環境が似ているため、家族に罹患した方がいる人は特に注意が必要です。
たとえ自覚症状がなくても、定期的にPSA検査などを受けて、早期発見に努めることが大切。
運動不足や肥満も前立腺がんのリスクを高める要因のひとつとされています。体重が増えすぎると、体内のホルモンバランスや免疫の働きに影響が出て、がんの発生を促す環境が整いやすくなります。
また、運動不足な生活は、全身の血流や代謝を低下させ、病気に対する抵抗力を弱めることにもつながります。日々の生活で適度な運動を取り入れ、体重管理を心がけることが、前立腺がんの予防にもつながります。
脂肪分の多い肉や乳製品を中心とした食事は、前立腺がんのリスクを高めるとされています。特に動物性脂肪を多く含む欧米型の食生活を続けている人は注意が必要です。
実際に、前立腺がんはアメリカやヨーロッパなどの国々で多く、日本でも食の欧米化が進むにつれて患者数が増加しています。
さらに、人種的な違いもリスクに関係しており、アフリカ系や欧米系の男性に多く見られる一方で、アジア圏では比較的少ない傾向があります。このことから、食生活と人種的背景の両方が発症に関わっていると考えられています。
肉食中心の食生活を続けていると、動物性脂肪を多く摂ることになります。チーズや牛乳、バターなどの乳製品にも脂肪分は含まれているので、お肉を控えていてもこれらを多く摂っている方は注意が必要です。
一方、野菜を取り入れることで前立腺がんのリスク軽減につながると言われています。特にブロッコリースプラウトやクレソンなどアブラナ科の野菜に含まれるスルフォラファン、トマトに多く含まれるリコピン、大豆製品に含まれるイソフラボンなどの成分を適切に摂ることが、前立腺がんのリスク軽減につながる可能性があります。
前立腺がんの進行の程度は、「病期(ステージ)」という考え方で分類されます。日本では、A期・B期・C期・D期という4段階の表現が使われることが多く、これは国際的な分類であるステージⅠ〜Ⅳにも対応しています。それぞれの段階で、がんの広がり方や治療の方法が異なります。
A期は、前立腺がんの最も初期段階であり、「ステージⅠ」にあたります。この段階では、がんは前立腺の中にとどまっていて、画像検査や触診でも見つからないことが多く、PSA検査などで偶然見つかるケースもあります。
がんの勢いが非常に弱く、すぐに治療を始める必要がないこともあり、「経過観察(アクティブサーベイランス)」と呼ばれる定期的な検査で様子を見ることがあります。
B期は、がんが前立腺の中でやや広がってきた状態で、「ステージⅡ」に相当します。がんが前立腺の片側または両側に見られますが、まだ前立腺の外には出ていません。
この段階では、PSA値やがんの悪性度などによって、手術や放射線治療などの積極的な治療が選ばれることがあります。がんの進行を抑えながら、寛解を目指すことが可能な時期です。
C期は「ステージⅢ」に該当し、がんが前立腺の外に広がり始めた状態、たとえば、前立腺のすぐ後ろにある「精のう」や、周囲の組織にがんが及んでいる場合がこれに当たります。
この段階では、すでにがんが局所的に進行しているため、治療も複数の方法を組み合わせることが必要になることがあります。たとえば、手術に加えて放射線治療やホルモン療法を行うことがあります。
D期は「ステージⅣ」にあたり、前立腺がんがさらに進行して体の別の部位にまで広がっている状態を指します。がんが前立腺の周囲のリンパ節や、骨・肺・肝臓などの遠くの臓器に転移している場合がこれに該当します。
この段階では、がんを完全に取り除くことは難しい場合が多く、病気の進行を抑えたり、症状を和らげたりすることを目的とした治療が中心となります。ホルモン療法や薬による治療、放射線による症状緩和などが行われます。
初期で悪性度が低く、リスクが低い場合は積極的な治療を行わず、定期的なモニタリングを行う「監視療法」が選ばれることがあります。
前立腺全摘除術が行われることが多く、2010年代以降は「ダヴィンチ」と呼ばれるロボット支援手術による、体への負担が少ない手術法が急速に普及しています。
特に2012年に保険適用となってからは、前立腺がんの手術方法として広く使われるようになりました。
外部からの強度変調放射線治療(IMRT)、小線源療法(内部照射)などが用いられます。
重粒子線やトモセラピーなどの先進的放射線治療も選択肢に入ることがあります。
前立腺がんは男性ホルモン依存性であるため、ホルモンの作用を抑制する治療が有効です。「LH-RHアナログ」「抗アンドロゲン剤」などを使用します。転移がある進行がんでは第一選択となることが多いです。
比較的ゆるやかではありますが、進行・転移していく前立腺がん。転移があると治療内容や体への影響も大きくなるため、早めの発見と対応が大切です。
前立腺がんの転移場所としてよく見られるのが「骨」です。特に骨盤や背骨、大腿骨(太ももの骨)など、前立腺の近くにある大きな骨に広がりやすい傾向があります。
また、体内の免疫を司るネットワーク・「リンパ節」を通じてがん細胞が運ばれるため、「リンパ節」に転移することもあります。さらに、病気が進むと「肺」や「肝臓」、「脳」など、より遠くの臓器にまでがんが届くこともあります。
がん細胞は、血液やリンパ液の流れにのって体の各所に移動するため、目に見える症状が出る前に別の場所に広がっている場合もあるので注意が必要です。
どのがんでも当てはまりますが、転移した場所によって、現れる症状は様々。たとえば骨に転移すると、腰や足などに痛みが出ることが多く、症状が進むと動くのがつらくなる、しびれる、骨がもろくなって折れやすくなるといったことが起こります。
リンパ節に転移した場合は、足のむくみやだるさが出ることがあり、周囲の神経や血管が圧迫されることで不快感を感じる人もいます。
また、肺に転移すると咳・息苦しさに加えて、血が混じった痰などが見られ、肝臓に転移した場合には、お腹の張りや痛み・体重の減少・皮膚や白目が黄色くなる「黄疸」などが現れることがあります。
脳に転移した場合は、物忘れや手足の動かしづらさ、言葉が出にくいなど、日常生活に大きく関わる症状が起きることもあります。
転移による症状は転移先の臓器の働きによって変わるため、「体のどこが痛むか」「どんな変化が出ているか」をしっかり観察することが大切です。定期的な検査を受けて、早めに異常を見つけることが、状態の悪化を防ぐことにつながります。
前立腺がんは、初期の段階では自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行してしまうことも少なくありません。
そのため、「症状がないから大丈夫」と思っていると、実はすでにがんが進んでいたというケースも存在します。だからこそ、症状がなくても定期的に検査を受けることが非常に大切です。
50歳を過ぎた男性や、家族に前立腺がんにかかった方がいる人は、特に注意が必要です。これらに該当する方は、年に1回のPSA(前立腺特異抗原)検査を受けることが強く推奨されています。
PSA検査は、採血だけで済むシンプルな検査で、体への負担も少なく、短時間で終了します。一部のケースでは、前立腺がんの早期発見に役立つ可能性があり、がんが小さいうちに見つかれば、治療の選択肢が広がり、体への影響を抑えた方法で対応できる可能性も高まります。
前立腺がんは進行が遅いタイプのがんではありますが、進行すると骨などに転移しやすく、治療が難しくなることもあります。その意味でも、「何も症状がないときこそ、検査を受けるチャンス」だといえるでしょう。
将来の健康と安心のために、定期的な検査を習慣にすることは、最も有効な自己防衛のひとつです。特にリスクが高いとされる方は、面倒に感じる前に、ぜひ医療機関で相談し、年に一度の健康チェックを忘れずに行いましょう。
当サイトでは、保険診療で受ける「抗がん剤治療」と、自由診療で受ける「トモセラピー」や「樹状細胞ワクチン療法」でステージ4のがんを治療する方法について紹介しています。がんの進行度により、医師と相談して検討しましょう。
画像引用元:クリニックC4公式HP
(https://cccc-sc.jp/)
痛み・副作用の少ない放射線療法
放射線治療のトモセラピーに特化したクリニックで、重粒子線、陽子線などの先進医療での治療を断られた方にも、ステージ4で「手立てがない」と言われた方にも、身体に優しいがん治療をお探しの方にも、痛み・副作用の少ない治療を行います。薬剤との併用により、より積極的な治療を行うことも可能です。
所在地 | 東京都渋谷区元代々木町33-12 |
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電話番号 | 03-6407-9407 |
画像引用元:銀座鳳凰クリニック公式HP
(https://www.ginzaphoenix.com/)
患者の細胞からワクチンを作製
免疫細胞を研究している院長のもと、免疫の司令塔である樹状細胞を使ってがん免疫療法を行っているクリニックです。患者様専用のワクチンを作るイメージで、治療の手立てがないと言われた患者様へも提供可能な治療法です。しっかりと寄り添って治療を進めていく姿勢も、治療を選択する要因になっているようです。
所在地 | 東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDXビル北ウィング6F |
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電話番号 | 03-6263-8163 |
画像引用元:がん研有明病院公式HP
(https://www.jfcr.or.jp/hospital/)
新しいがん治療薬の導入に積極的
抗がん剤による薬物療法が進む中、「先端医療開発科」が創設され、新しいがん治療薬での治療をいち早く受けられるよう、早期臨床開発を推進している病院です。幅広い知識と経験を持つ専任医師とスタッフが、それぞれの患者様に合った臨床試験を提案し、これまでの薬では治らなかったがんの治療に取り組んでいます。
所在地 | 東京都江東区有明3-8-31 |
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電話番号 | 03-3520-0111(大代表) |