放射線療法には、さまざまな種類があります。それぞれどのような症例に用いられているのかを確認してみましょう。
がんの治療には、国が提示している治療に関するガイドラインが存在します。
保険の範囲内で治療をおこなう場合は、「肺または肝がんの腫瘍が3個まで、大きさは5cm以下。骨やリンパ節転移のあるがんは治療できない」という内容を守らなければいけません。
放射線治療の中でも電磁放射線による治療に分類されるX線治療。
X線治療には、一般的な高エネルギー放射線治療、三次元原体照射(3D-CRT)、強度変調放射線治療(IMRT)、定位放射線治療(SRT: Stereotactic Radiation Therapy)など照射方法によって細かく分類されます。
現在多く用いられているのが、高エネルギーのX線を発生させて、癌に直接X線を照射する治療法です。
X線は放射線治療の中でも古い歴史があり、場合によっては外科手術と同等もしくはそれ以上の治療成績を残せるようにもなっています。
現代日本人の死因の1/3を占める顔をコントロールする手段としてのX線治療は、放射線治療の中では最も長い歴史を持つ。〜中略〜放射線治療に使うX線は、病院内に設置された小型線形加速器により加速された4-10MeVの電子をタングステンのターゲットに照射したときに生じる制動放射を用いて生成する。
一般的な高エネルギー放射線治療では、がんの位置を正確に把握した上で、外部から多方向かつ正確にX線を照射します。
回数や時間はがんの大きさ、ステージ、部位によっても異なります。通常、照射治療は平日の月曜〜金曜までの5日間連続して行い、それを数週間続けて実施します。
1回あたりの照射時間はそれほど長くありません。これにより、放射線照射により傷ついてしまった正常な細胞が回復できると言われています。
X線治療は、高エネルギーの放射線(X線)を照射することでがん細胞を死滅させ、がんの増殖を食い止める治療法です。がん細胞が死滅すれば、がんの消失も期待できます。
X線治療は、比較的どんな種類のがんにも適応できる治療法です。
ただし、X線の線量の特性上、体表面から深い場所にあるがん組織には届きにくくなっています。
X線によるがんの放射線治療は、一般的な高エネルギー放射線治療、三次元体照射、画像誘導放射線治療などほとんどのケースで公的医療保険が適用されます。
ただ、IMRTと呼ばれる強度変調放射線治療に関しては、固形がんと一部の癌に対して保険適用があり、一部のがんでは保険適用が受けられません。
X線による放射線治療の副作用は、個人によって出方は様々です。放射線治療中や治療終了直後に出る副作用は急性期の副作用と言われ、疲労感・倦怠感・食欲不振・貧血などが挙げられます。こうした全身的なものに加えて、照射された皮膚に局所的に乾燥・かゆみ・むくみ・赤くなるなどの症状が出る場合もあります。
また、放射線治療は、治療後時間が経ってから晩期の副作用が出ることも。
例えば、放射線が照射された部位から、確率は非常に低いものの、がんが二次的に出やすくなると言われています。加えて、子宮や前立腺など生殖器への照射は不妊につながるリスクもあります。妊娠や出産を希望する場合には、主治医とリスクについてもしっかりと話し合っておきましょう。
比較的新しい放射線治療として、現在行われている粒子線治療。放射線の種類によって陽子線治療や重粒子線治療などと呼ばれることもあります。
主に頭頸部がんや、肝臓がん、前立腺がんなどの治療で用いられています。粒子線治療の大きな特徴は、照射する放射線を調整することで、病巣にたどり着いた時に放出するエネルギーが最も大きくなるように調整できる点です。
放射線治療の中でも、より効果的な治療方法として注目されています。
粒子線治療は、α線やβ線、電子線、陽子線、重粒子線などの放射線を用います。 照射は体の外部から照射する方法が採用されています。
最近の新しい放射線治療として粒子線治療がある。陽子や炭素原子核などの重粒子を使う放射線治療である。これらの物理学的特性と生物学的効果を利用し,標的への線量集中性を向上させることにより抗腫瘍効果を増強させ,局所制御率を改善するとともに周囲の正常組織に対する障害の軽減を期待するものである。
陽子線や重粒子線治療は、頭頸部がん、肝臓がん、前立腺がんなどで特に効果があるとして、現在先進医療として認められています。
粒子線治療で、医療保険適用が受けられる可能性のあるがんはそれほど多くありません。
陽子線治療なら小児限局性の固形悪性腫瘍、骨軟部腫瘍、頭頚部悪性腫瘍、前立腺がんなどが医療保険適用の可能性があります。また、重粒子線治療では、骨軟部腫瘍、頭頚部悪性腫瘍、前立腺がんで医療保険が適用される可能性があります。
陽子線治療や重粒子線治療は、まだ比較的新しい治療法。そのため、「研究段階」にある治療法とみなされ、一部の医療機関のみで受けられる先進医療とされています。
粒子線治療は、これまでの放射線治療と比べると、放射線が正常な細胞を傷つける程度が軽く、副作用が比較的軽く済む場合が多いと言われています。
不必要に細胞を傷つけずに済むため、患者さんへの負担が少ないといえるでしょう。
小線源治療の特徴は、体の内部から放射線を照射するところにあります。放射線核種を体内に埋め込むため、よりがん細胞に近い場所から治療が行える点が大きなメリットであり特徴です。
小線源治療の照射方法は、放射線核種と呼ばれる物質をワイヤーなどの先端に取り付け、体内に挿入。放射線を照射します。
例えば前立腺がんの治療の場合、ヨウ素125と呼ばれる放射性同位元素が入ったカプセルを前立腺に埋め込みます。小線源治療では、体内にカプセルを埋め込んで放射線を照射するため、24時間放射線照射をガンにすることができるのです。
基本的に放射線ががん細胞を攻撃する点は、外部照射の治療と同じです。
大きな違いは、体内から行うということで、体の深部にあるがんも攻撃でき、患者さんの体への負担を軽減することができます。
小線源治療とはまさに小さな線源を治療に用いる方法で放射線核種としてイリジウム(Ir─192)やヨード(I─125),今はほとんどないコバルト(Co─60)などを用いる.腔内照射と組織内照射の大きく2つの治療法がある.まず腔内照射はアプリケータと呼ばれる細い外套を治療部位に挿入し,後からリモートコントロールでワイヤーの先端に取りつけられた小線源を挿入する方法である.術者が被曝しないで腫瘍に近接した照射が可能となる.子宮頸がんや食道がん,胆管がんなどがよい適応となる.
現在小線源治療は、前立腺がんや皮膚ガン、乳がん、子宮腔がん、食道がんなどの治療に用いられています。
全てのガンに適応されるわけではありません。
2018年4月現在、小線源治療が保険適用となるのは、前立腺がん、舌がん、口腔がん、皮膚がん、乳がん、子宮腔がん、腟腔がん、口腔がん、食道がん、気管支がん、直腸がんなどがあります。
放射線治療の中でも低リスクと言われる小線源治療。
体力が低下した高齢の方でも受けられる治療で、副作用は治療後1〜3ヶ月ごろをピークに発生します。比較的副作用も少ない治療法といえるでしょう。
γ線は、ガンマナイフ治療などで用いられる放射線です。γ線の特徴は、ほぼX線と似ていて、皮膚から浅い場所にあるがんの治療に適しています。
ガンマナイフ治療では、病巣に集中的に放射線を照射し、ピンポイントでがんを攻撃していきます。
γ線は外部からの照射、内部からの照射、何でも用いられている放射線です。X線と同じく、電磁放射線と呼ばれる放射線で、ガンマナイフを使った定位放射線治療などで使われます。
X線による放射線治療では弱い線量を複数回にわたって照射するのに対し、ガンマナイフ治療では、病巣に集中的にガンマ線を照射するため、1回で治療が完了します。
定位放射線治療とは、いろいろな方向から放出された放射線をピンポイントでがんの病巣に照射する方法です。小さな病巣のがんには有効な治療方法と言われています。
定位放射線治療(SRT)とは、病巣に対し多方向から放射線を集中させる方法です。定位照射、ピンポイント照射とも呼ばれます。通常の放射線治療と比較し、周囲の正常組織にあたる線量を極力減少させることが可能です。1回照射で終わる場合を特別に定位放射線手術(SRS: Stereotactic Radiosurgery)といい、小さな病巣に有効な治療法です。
定位放射線治療で用いられる装置の1つとして、ガンマナイフがあります。ガンマナイフとは、多数のコバルト線源をヘルメット状の照射ヘッドに対して半球状に配置した放射線照射装置で、ピンポイント照射の一種です。各コバルト線源から放出されるγ(ガンマ)線がヘルメット内の小さな穴を通過することでペンシル状のビームとなり、小さな領域に集まるように設計されています。このようにして、多方向から一点に高線量の放射線を集中させることができます(図8)。
γ線治療は、外部照射の場合は脳腫瘍や脳転移があるがんなどに特に効果があると言われています。また、内部照射による治療では、子宮腔・腹腔・食道がんなどに用いられています。
γ線治療は全てのがんで医療保険による適用が受けられるわけではありません。
外部からの照射による治療(ガンマナイフ)の場合は脳腫瘍・脳転移のあるがんなど一部がんで医療保険が適用されています。
γ線によるがん治療の副作用は、ほぼX線治療と同じです。
ただし、ガンマナイフ治療の場合、放射線の照射範囲が限定的です。そのため、脱毛は全部の毛が抜けるのではなく、脱毛箇所が一部分になる場合もあります。例えば脳腫瘍にガンマナイフ治療を行った場合が、その例に当てはまります。
各治療法についての特徴やどのようなメカニズムで効果を目指す治療法なのかを以下の表にまとめました。
照射方法 | 特徴 | 治療の仕組み | 公的医療保険が適用されるがん | |
---|---|---|---|---|
X線治療 | 外部照射 | がん治療で最も一般的な放射線治療。 一般的なX線治療に加えて、三次元原体照射(3D-CRT)や、 強度変調放射線治療(IMRT)などの方法も 近年開発されています。 |
放射線によりがん細胞を 死滅させる治療方法。 正常組織も破壊してしまう ことから副作用がある。 |
限定なし ※IMRTは固形がんのみ |
粒子線治療(自由診療) | 外部照射 | 粒子線治療は、公的保険適用外のがんに対しても、 今後保険適用に向けて臨床試験が実施されている 治療方法です。先進医療制度にも認定されているため、 保険診療とも併用が可能です。 |
病巣に陽子や重粒子を照 射することで、がん細胞 を破壊する治療。 X線よりも 病巣に確実に照射で きるメリットがある。 |
基本的に適用外 ※例外あり |
小線源療法 | 内部照射 | アメリカでは30年近く治療に用いられてきた 治療方法で、平成15年から日本でも標準治療の一つ として用いられています。 |
がん組織やその周辺に、 放射線同位元素を密封し た容器を置いて放射線を 治療する治療方法です。 放射線が照射される範囲 が限定的になるため、よ り副作用を少なく、効果 を高くすることが期待で きます。 |
前立腺がん、舌その他の 口腔がん、皮膚がん、 乳がん(上記は組織内照射)。 子宮腔、腟腔、口腔、 食道、気管支、直腸などのがん (上記は腔内照射) |
これまでの放射線治療として一般的だったX線治療は、適用となるがんが多く、良性腫瘍に対しても有効な結果があることがわかっています。X線治療も近年治療機器が進化しており、ピンポイント照射ができるIMRTなどの機器により手術並みの治療成績も報告されるようになりました。
コンピュータなどの技術の発展に伴い放射線治療の周辺機器である放射線治療計画装置の進歩も著しい。これらの放射線治療計画装置を用いることによりピンポイント照射といわれている3次元的に照射が可能になった。定位放射線治療(ラジオサージェリー)あるいは強度変調放射線治療(IMRT)に代表されるように,近年の放射線治療技術の進歩は著しく,手術に匹敵する治療成績が報告されている。 最近の新しい放射線治療として粒子線治療がある。陽子や炭素原子核などの重粒子を使う放射線治療である。これらの物理学的特性と生物学的効果を利用し,標的への線量集中性を向上させることにより抗腫瘍効果を増強させ,局所制御率を改善するとともに周囲の正常組織に対する障害の軽減を期待するものである。
トモセラピーとは、IMRT(高精度放射線治療機)のひとつです。受けられる放射線をコンピューター制御しながら、らせん状に照射し複数個所のがんを一度に治療できます。
全身転移や、肺がんなど今までの放射線では治療が難しいとされていたケースで適応が可能です。進行したがんにも照射でき、ステージ4でも条件が整えば対応できることが特徴。自由診療の場合、がんの個数にとらわれることがありません。入院は不要で、治療にかかる時間や期間も短くてすみます。
自由診療の場合、保険適用に比べれば高額になりますが、一般的な放射線診療は他の診療と組み合わせて結局長期間かかることを考慮すると、費用はあまり変わらなくなるという考え方もできます。
放射線治療一つとっても、実にさまざまな種類があるがん治療。
放射線治療、抗がん剤治療、外科治療など複数の治療方法を組み合わせ、患者さん一人ひとりに合った治療方法が選択されていきます。
日進月歩で、今もなお新しい治療法の研究が進んでいるがんという病気。あなたにあったがん治療を選ぶためには、客観的かつ多角的な視点でがん治療を考える必要があります。
その点では、セカンドオピニオンも大切ですし、患者さんやご家族が治療に関する知識を深めることも大切です。
がんの治療法について、しっかり学んでいきましょう。
当サイトでは、保険診療で受ける「抗がん剤治療」と、自由診療で受ける「トモセラピー」や「樹状細胞ワクチン療法」でステージ4のがんを治療する方法について紹介しています。がんの進行度により、医師と相談して検討しましょう。
痛み・副作用の少ない放射線療法
放射線治療のトモセラピーに特化したクリニックで、重粒子線、陽子線などの先進医療での治療を断られた方にも、ステージ4で「手立てがない」と言われた方にも、身体に優しいがん治療をお探しの方にも、痛み・副作用の少ない治療を行います。薬剤との併用により、より積極的な治療を行うことも可能です。
所在地 | 東京都渋谷区元代々木町33-12 |
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電話番号 | 03-6407-9407 |
患者の細胞からワクチンを作製
免疫細胞を研究している院長のもと、免疫の司令塔である樹状細胞を使ってがん免疫療法を行っているクリニックです。患者様専用のワクチンを作るイメージで、治療の手立てがないと言われた患者様へも提供可能な治療法です。しっかりと寄り添って治療を進めていく姿勢も、治療を選択する要因になっているようです。
所在地 | 東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDXビル北ウィング6F |
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電話番号 | 03-6263-8163 |
新しいがん治療薬の導入に積極的
抗がん剤による薬物療法が進む中、「先端医療開発科」が創設され、新しいがん治療薬での治療をいち早く受けられるよう、早期臨床開発を推進している病院です。幅広い知識と経験を持つ専任医師とスタッフが、それぞれの患者様に合った臨床試験を提案し、これまでの薬では治らなかったがんの治療に取り組んでいます。
所在地 | 東京都江東区有明3-8-31 |
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電話番号 | 03-3520-0111(大代表) |
【選定基準】
「末期がん クリニック」でGoogle検索してヒットした医療機関上位35院中、治療実績と画像付き症例を公式HPに掲載しており、以下の各治療法におけるGoogleの口コミ評価がそれぞれ最も良い3院を抽出しています(2023年5月15日調査時点)。
①放射線療法「トモセラピー」の治療実績と症例・・・クリニックC4
②免疫療法「樹状細胞ワクチン投与」の治療実績と症例・・・銀座鳳凰クリニック
③外来化学療法「抗がん剤治療」の治療実績と症例・・・がん研有明病院