早期発見で助かる可能性の高く、ワクチン接種や定期的な検診で予防・早期発見が可能な子宮がんについて紹介しています。
※2025年4月時点の情報をもとに作成しています。
子宮がんは、がんが発生する部位によって「子宮頸がん」と「子宮体がん」の2種類に分類され、これらを総称して「子宮がん」と呼びます。
2000年代以前は、子宮頸がんは若年層、子宮体がんは高齢層に多いとされていましたが、2010年代以降は生活習慣やホルモン環境の変化などの影響により、20代から高齢層まで幅広い年齢層にわたって子宮がんが見られるようになっています。
子宮頸がんは、子宮の入り口にあたる子宮頸部に発生するがんで、20代から30代の女性に多く見られます。2010年代以降ではHPVワクチンの普及と検診体制の整備により、早期発見・予防が可能ながんの一つとして位置づけられています。
子宮頸がんは進行が比較的遅く、前がん病変と呼ばれるCIN(子宮頸部上皮内腫瘍)からがんに進行するまでには、通常数年から10年以上かかるとされています。そのため、定期的に検診を受けることで、がん化する前に発見できる可能性が高くなります。
子宮頸がんの主な原因はヒトパピローマウイルス(HPV)感染です。感染しても多くは自然に排除されますが、一部の高リスク型HPVが持続感染することでがん化のリスクが高まります。
免疫力の低下や喫煙などの生活習慣は、ウイルスの排除を妨げる要因となり、発症リスクを高めると考えられています。
子宮体がんは、子宮の内腔を覆う内膜に発生するがんで、40代後半から閉経後の女性に多く見られます。このがんは、子宮内膜がホルモンの影響などによって過剰に増殖することが主な原因とされており、特にエストロゲンが単独で長期間作用することがリスク因子とされています。
肥満や糖尿病、未経産の女性ではホルモン環境に変化が起こりやすく、発症リスクが高くなる傾向があります。
子宮頸がんの検査では、まず細胞診によって異常の有無を調べます。必要に応じて、子宮頸部を拡大して観察するコルポスコープ検査や組織診、画像検査(超音波、CT、MRIなど)が追加で行われます。
一方、子宮体がんの検査では、子宮内膜から組織を採取する内膜生検が用いられます。この検査では多少の痛みや出血を伴うことがあります。
なお、自治体などが実施する公的な子宮がん検診では、主に子宮頸がんの検査のみが対象となっており、子宮体がんは対象外であることが多いため、症状がある場合には医療機関での個別の相談が必要です。
子宮がんの病期(ステージ)は、がんが子宮内にとどまっているか、周囲の臓器やリンパ節、あるいは遠隔臓器へ広がっているかに応じて分類されます。この分類は、治療法の選択や治療後の見通しに直接関係するため、極めて重要です。
子宮頸がんのステージI期は、がんが子宮頸部に限局している状態です。このうちIa期は、顕微鏡でのみ確認される浸潤がんで、さらにIa1期(浸潤の深さ3mm未満かつ広がり7mm未満)とIa2期(浸潤の深さ3〜5mmかつ広がり7mm未満)に分かれます。
Ib期では、肉眼的に病変が確認できるようになり、Ib1期(腫瘍径4cm未満)とIb2期(腫瘍径4cm以上)に分類されます。
ステージII期では、がんが子宮頸部を越えて膣上部や子宮傍組織に広がりますが、骨盤壁や膣の下3分の1までは到達していません。
IIA期は腫瘍が膣上部に浸潤している状態、IIB期では子宮傍組織にまで進展しています。
ステージIII期は、がんが骨盤壁にまで達していたり、膣の下部3分の1に浸潤している、あるいは腎機能障害を伴う場合を含みます。
III期はさらにIIIA期(膣下部3分の1への浸潤)、IIIB期(骨盤壁への進展または腎機能障害)、IIIC期(骨盤または傍大動脈リンパ節への転移)に分類されます。
ステージIV期は最も進行した段階で、IVa期は膀胱または直腸の粘膜への浸潤を伴い、IVb期では肺や肝臓、骨などへの遠隔転移が見られます。
子宮体がんのステージI期は、がんが子宮体部に限局している状態です。Ia期では内膜から子宮筋層1/2未満への浸潤、Ib期では子宮筋層1/2以上への浸潤が見られます。
ステージII期は、がんが子宮体部を超えて子宮頸部の間質(結合組織)に浸潤している状態を指します。この段階では、がんは依然として子宮内にとどまっており、子宮外の骨盤内臓器やリンパ節にはまだ広がっていません。
頸部の上皮にとどまる場合(表層に限局する病変)ではステージII期とは見なされず、間質への明らかな浸潤が確認された場合に分類されます。子宮頸部への浸潤は治療戦略に影響を与える重要な因子であり、手術方法の選択や術後補助療法の判断において考慮されます。
ステージIII期では、がんが子宮外へ広がっているものの、骨盤を超えてはいません。IIIa期では子宮漿膜や卵巣・卵管への浸潤、IIIb期では膣や傍子宮組織への浸潤、IIIc期では骨盤内または傍大動脈リンパ節への転移が含まれます。
ステージIV期は、がんが膀胱や直腸の粘膜への浸潤(IVa期)あるいは腹腔外の臓器、たとえば肺や肝臓、骨などへの遠隔転移(IVb期)を伴う最も進行した段階です。
国立がん研究センターの「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」によると、2014〜2015年診断例に基づくネット・サバイバル(純生存率)は以下の通りです。
上記ネット・サバイバルを見てもわかるように、できるだけ早い段階でがんを発見し、適切な治療をすることで生存率は高まるので、しっかり定期検査を受けることが重要です。
子宮がんは、進行すると血液やリンパの流れに乗って他の臓器へ転移することがあります。
子宮頸がんは、特に肺、脳、骨、傍大動脈リンパ節などに転移しやすいことが知られています。
傍大動脈リンパ節は、骨盤より上部に位置する大動脈周囲のリンパ節で、リンパの流れに沿ってがん細胞が運ばれ、転移することがあります。
子宮体がんでは、腹膜、肺、肝臓、リンパ節などが主な転移先として挙げられます。
腹膜は内臓の表面を覆っている膜であり、がん細胞が子宮外へ広がる過程で腹腔内に播種することがあります。また、血行性により肝臓や肺への転移が生じることもあります。
転移が起きた場合の症状は、転移先によって異なります。たとえば肺に転移すると咳や息切れ、血痰などの呼吸器症状が見られ、肝臓への転移では腹痛や黄疸、体重減少などが生じる可能性があります。
脳に転移した場合には、認知機能障害や言語障害、手足のしびれなどの神経症状が出現することもあります。
どの部位に転移した場合であっても、初期段階では自覚症状がないことが多いため、治療後も定期的な経過観察が重要です。
子宮がんの治療法は、がんの種類(子宮頸がん/子宮体がん)と病期(ステージ)に基づいて選択されます。
それぞれのステージに応じて、外科手術、放射線療法、化学療法、ホルモン療法などが組み合わされます。
病変がごく初期である場合、子宮を温存するために円錐切除術が行われます。浸潤が浅く、病変の範囲が限定的であれば、子宮温存が可能です。
病変が子宮頸部を越えて周囲に広がる段階では、広汎子宮全摘出術が行われ、補助的に放射線療法や化学療法が併用されることがあります。
病変が骨盤壁や遠隔臓器へ広がる進行がんでは、放射線療法と化学療法を併用する同時化学放射線療法(CCRT)が主な選択肢となります。手術が困難な場合は、緩和ケアの検討も含めた多職種連携が求められます。
がんが子宮体部または子宮頸部に限局している段階では、子宮全摘出術および両側付属器切除術(卵巣・卵管の切除)を基本とし、必要に応じて骨盤内リンパ節や傍大動脈リンパ節の郭清が行われます。
リスク分類(低・中・高)に応じて、術後に補助療法(放射線、化学療法、ホルモン療法)が追加されます。
Ⅰa期に入った場合、子宮を残せるかどうかは状態によって変わってくるので、医師の診察をよく聞き、最適な治療法について考えていかなければなりません。条件は定められているものの、症状によっては子宮温存も可能です。
Ⅰa2期に入るとリンパ節郭清を含む準広汎子宮全摘出術以上の手術が推奨されることになるでしょう。そのため、子宮を残すためにはできる限りⅠa期よりも前の段階で早期発見を目指すことが重要になってきます。
がんが子宮外に広がる場合には、可能であれば手術を行い、術後または代替として化学療法(主にプラチナ系薬剤+パクリタキセル)や放射線療法が実施されます。遠隔転移がある場合には、化学療法が中心となり、症状の緩和を目的とした治療も併せて考慮されます。
治療方針は、がんの進行度だけでなく、患者さんの年齢や全身状態、妊娠・出産を希望するかどうかといった個々の事情も含めて総合的に判断されます。
がん専門医を中心に、産婦人科医、放射線治療医、腫瘍内科医、看護師、薬剤師などから成る多職種チームが連携し、最適な治療計画を立てていくことが推奨されています。
たとえば子宮頸がんの場合、初期の段階であれば、子宮を残すことができる円錐切除術やレーザー治療が選択されることが多く、妊孕性(妊娠する能力)を考慮した治療も可能です。
一方で、進行した病変では、広汎子宮全摘出術や放射線治療、化学療法、あるいはこれらを組み合わせた同時化学放射線療法(CCRT)が必要となることがあります。
子宮頸がんは、前がん病変から実際のがんになるまでに数年単位の時間を要することが多く、進行の遅いがんとされています。
定期的な検診により早期に異常を発見し、治療を行うことで予後は良好となる可能性があります。
子宮体がんは、不正出血が比較的早い段階で起こることが多く、初期で発見されることが多いがんです。特に閉経後の不正出血は重要なサインであり、早期受診につなげることが予後改善の鍵となります。
どちらのがんであっても、日常的な体調の変化に注意を払い、「おかしいな」と思った時点で早めに医療機関を受診することが、早期発見と治療につながります。
当サイトでは、保険診療で受ける「抗がん剤治療」と、自由診療で受ける「トモセラピー」や「樹状細胞ワクチン療法」でステージ4のがんを治療する方法について紹介しています。がんの進行度により、医師と相談して検討しましょう。
画像引用元:クリニックC4公式HP
(https://cccc-sc.jp/)
痛み・副作用の少ない放射線療法
放射線治療のトモセラピーに特化したクリニックで、重粒子線、陽子線などの先進医療での治療を断られた方にも、ステージ4で「手立てがない」と言われた方にも、身体に優しいがん治療をお探しの方にも、痛み・副作用の少ない治療を行います。薬剤との併用により、より積極的な治療を行うことも可能です。
所在地 | 東京都渋谷区元代々木町33-12 |
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電話番号 | 03-6407-9407 |
画像引用元:銀座鳳凰クリニック公式HP
(https://www.ginzaphoenix.com/)
患者の細胞からワクチンを作製
免疫細胞を研究している院長のもと、免疫の司令塔である樹状細胞を使ってがん免疫療法を行っているクリニックです。患者様専用のワクチンを作るイメージで、治療の手立てがないと言われた患者様へも提供可能な治療法です。しっかりと寄り添って治療を進めていく姿勢も、治療を選択する要因になっているようです。
所在地 | 東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDXビル北ウィング6F |
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電話番号 | 03-6263-8163 |
画像引用元:がん研有明病院公式HP
(https://www.jfcr.or.jp/hospital/)
新しいがん治療薬の導入に積極的
抗がん剤による薬物療法が進む中、「先端医療開発科」が創設され、新しいがん治療薬での治療をいち早く受けられるよう、早期臨床開発を推進している病院です。幅広い知識と経験を持つ専任医師とスタッフが、それぞれの患者様に合った臨床試験を提案し、これまでの薬では治らなかったがんの治療に取り組んでいます。
所在地 | 東京都江東区有明3-8-31 |
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電話番号 | 03-3520-0111(大代表) |