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放射線治療と抗がん剤治療の違い

がんの治療方針について、放射線治療と抗がん剤治療の両方を提案されると、「何が違うのか」「どちらの方が効果が高いのか」と疑問に感じるかもしれません。

放射線治療は、主に放射線を照射した病巣へ働きかける局所治療です。一方、抗がん剤治療は、投与した薬が血液を通じて全身へ運ばれ、複数の病巣や画像では確認できないがん細胞にも働きかけることを目的とする場合があります。

ただし、放射線治療と抗がん剤治療は、どちらか一方が優れているという関係ではありません。がんの種類、病期、病巣の位置や広がり、治療の目的などに応じて使い分けます。

また、病状によっては、放射線治療と抗がん剤治療を同じ時期に行ったり、順番に行ったりすることがあります。

このページでは、放射線治療と抗がん剤治療の違いを、治療する範囲、目的、副作用、治療期間、併用する理由などの観点から解説します。

※2026年7月時点の情報をもとに作成しています。治療の適応や方法は、がんの種類、病期、病巣の位置、治療歴、全身状態などによって異なります。具体的な治療方針は主治医へ確認してください。

目次

放射線治療と抗がん剤治療の違いを比較

放射線治療と抗がん剤治療では、治療を行う方法だけでなく、主な治療対象や副作用が現れる範囲も異なります。

比較項目 放射線治療 抗がん剤治療
治療の分類 主に局所治療 主に全身治療
主な対象 放射線を照射する特定の病巣 全身にあるがん細胞や複数の病巣
治療方法 体の外または内側から放射線を照射する 点滴、注射、内服などで薬を投与する
主な目的 病巣の縮小、進行抑制、再発予防、症状緩和 がんの縮小、進行抑制、再発予防、症状緩和
副作用の範囲 照射した部位を中心に現れやすい 全身に現れる場合がある
治療期間 1回から数週間など、目的や方法によって異なる 一定期間の投与と休薬を繰り返す場合がある
効果判定 画像検査、症状、治療後の経過などを確認する 画像検査、症状、血液検査などを確認する
ほかの治療との併用 抗がん剤や手術と組み合わせる場合がある 放射線治療や手術と組み合わせる場合がある

放射線治療が局所治療だから弱い、抗がん剤治療が全身治療だから強いという意味ではありません。

両者では、治療する範囲や役割が異なります。病状によっては、一方だけではなく、両方を組み合わせることで治療計画を立てます。

放射線治療とは

放射線治療は、がんのある場所へ放射線を照射し、がん細胞の増殖を抑える治療です。

主に照射した範囲を対象とするため、手術と同じく局所治療に分類されます。

特定の病巣へ放射線を照射する局所治療

放射線治療では、CTやMRIなどの画像をもとに病巣の位置や広がりを確認し、照射する範囲や放射線量を決めます。

放射線はがん細胞だけでなく正常な細胞にも影響する可能性があるため、周囲にある正常な臓器への放射線量を抑えながら、病巣へ必要な放射線を照射できるように治療計画を立てます。

治療方法には、体の外から放射線を照射する外部照射や、体内に放射線源を入れて治療する小線源治療などがあります。

放射線治療の主な目的

放射線治療は、がんを治すことだけでなく、手術前後の治療、進行抑制、症状緩和など、さまざまな目的で行われます。

目的 主な内容
根治を目指す 放射線による病巣の消失を目指す
手術前の治療 病巣を小さくし、手術を行いやすくする
手術後の治療 残っている可能性があるがん細胞へ照射し、再発リスクを抑える
進行を抑える 特定の病巣が大きくなるのを抑える
症状を和らげる 痛み、出血、圧迫などを軽減する

放射線治療を検討することがあるケース

放射線治療は、次のような場合に検討されることがあります。

実際に放射線治療を行えるかは、病巣の位置、大きさ、個数、周辺臓器、過去の照射歴、全身状態などをもとに判断されます。

放射線治療の主な方法

放射線治療には複数の方法があります。

装置や治療方法によって一律に優劣が決まるわけではありません。

病巣の種類や位置、治療目的に適した方法を、放射線治療を専門とする医師が検討します。

抗がん剤治療とは

抗がん剤治療は、点滴、注射、内服などによって薬を投与し、がん細胞の増殖を抑えたり、がんを小さくしたりする治療です。

投与された薬は血液を通じて全身へ運ばれるため、複数の病巣や転移、画像では確認できない小さながん細胞へ働きかけることを目的として行われる場合があります。

薬によって全身のがんへ働きかける治療

抗がん剤治療では、原発巣だけでなく、離れた臓器にある転移病巣も治療対象として考えます。

ただし、薬が全身へ届いたとしても、すべてのがん細胞に同じ効果が現れるとは限りません。臓器や病巣の性質によって、薬への反応が異なる場合があります。

使用する薬は、がんの種類、病期、病理診断、遺伝子変異、過去の治療歴、臓器機能などをもとに選ばれます。

抗がん剤治療の主な目的

抗がん剤治療も、病状によって目的が異なります。

薬物療法には複数の種類がある

一般に「抗がん剤」と呼ばれる治療には、複数の種類があります。

種類 主な特徴
細胞障害性抗がん薬 細胞が増殖する仕組みに働きかける
分子標的薬 がんの増殖に関係する特定の分子や遺伝子変異などを標的とする
免疫チェックポイント阻害薬 免疫細胞ががんを攻撃する働きを保つ
内分泌療法 ホルモンを利用して増殖するがんに働きかける

日常的な説明では、細胞障害性抗がん薬だけを「抗がん剤」と呼ぶ場合と、分子標的薬などを含む薬物療法全体を指す場合があります。

どの種類の薬を勧められているのか、主治医に確認しましょう。

放射線治療と抗がん剤治療では治療する範囲が異なる

放射線治療と抗がん剤治療の大きな違いの一つが、治療する範囲です。

放射線治療は照射した範囲が主な治療対象

放射線治療では、病巣の位置や広がりに合わせて照射範囲を決めます。

照射した範囲にあるがん細胞へ働きかける一方、照射範囲の外にある病巣には直接作用しません。

複数の病巣へ放射線を照射する場合もありますが、病巣数、位置、周辺臓器、身体への負担などによって、すべての病巣を治療できるとは限りません。

抗がん剤は血液を通じて全身へ広がる

抗がん剤は、点滴や内服などで投与された後、血液を通じて全身へ運ばれます。

原発巣だけでなく、複数の転移病巣や、画像ではまだ確認できないがん細胞へ働きかけることも目的とします。

ただし、薬の届きやすさや、がん細胞の薬に対する反応は病巣ごとに異なる場合があります。

転移があると放射線治療を受けられないとは限らない

転移がある場合は抗がん剤などの全身治療が中心になることがありますが、放射線治療を受けられないとは限りません。

次のような場合に、転移病巣への放射線治療が検討されることがあります。

放射線治療を行えるかは、病巣ごとに判断されます。また、放射線治療だけで全身にあるがんへ対応できるとは限りません。

放射線治療と抗がん剤治療の副作用の違い

放射線治療と抗がん剤治療では、副作用が起こる仕組みや現れやすい範囲が異なります。

ただし、どちらの副作用が強いかを一律に比較することはできません。

放射線治療の副作用

放射線治療の副作用は、主に放射線を照射した部位や周辺に現れます。

副作用の種類は、照射する部位、範囲、放射線量、治療回数などによって異なります。

たとえば、頭部へ照射した場合は照射範囲の脱毛、胸部へ照射した場合は食道炎や肺炎、腹部や骨盤へ照射した場合は吐き気や下痢などが起こることがあります。

放射線治療による脱毛は、原則として放射線を照射した範囲に生じます。

抗がん剤治療の副作用

抗がん剤は全身へ運ばれるため、がん細胞だけでなく、正常な細胞にも影響することがあります。

副作用は薬の種類や投与量によって異なります。

分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬、内分泌療法では、細胞障害性抗がん薬とは異なる副作用が現れることがあります。

どちらの副作用が強いかは一律に比較できない

副作用の程度は、次のような要素によって異なります。

「放射線治療は抗がん剤よりも副作用が軽い」「抗がん剤の方が必ずつらい」とは限りません。

自分の治療で予想される副作用と、症状が現れた際の対応方法を確認しましょう。

治療回数・期間・通院方法の違い

放射線治療と抗がん剤治療では、事前準備や治療スケジュールも異なります。

項目 放射線治療 抗がん剤治療
事前準備 診察、固定具の作製、治療計画用CTなど 診察、血液検査、薬剤や投与量の決定など
治療単位 1回ごとに放射線を照射する 1回または数日間の投与を1周期とする場合がある
治療期間 1回から数週間など、方法や目的によって異なる 一定の間隔で複数周期を行う場合がある
通院 平日に連日通院する場合がある 数週間ごとの通院や、毎日の内服などがある
入院 治療内容や体調によって異なる 使用する薬や副作用、全身状態によって異なる

放射線治療では、根治を目指して数週間にわたり照射する場合もあれば、症状緩和を目的として1回または少ない回数で照射する場合もあります。

定位放射線治療などでは、通常の外部照射より少ない回数で行う場合があります。

抗がん剤治療では、薬を投与する期間と、身体を休ませる休薬期間を組み合わせた周期を繰り返すことがあります。

治療期間や通院回数は、がんの種類、使用する薬、治療目的などによって異なります。

放射線治療と抗がん剤治療を併用する理由

がんの状態によっては、放射線治療と抗がん剤治療の一方だけではなく、両方を組み合わせます。

局所と全身の両方へ働きかけるため

放射線治療は特定の病巣へ働きかけ、抗がん剤治療は全身にあるがん細胞へ働きかけることを目的とします。

局所にある病巣を放射線治療で抑えながら、画像では確認できない可能性があるがん細胞や、ほかの部位へ広がる可能性に対して抗がん剤を使用する場合があります。

それぞれの治療の役割を分けることで、局所と全身の両方を治療対象として考えます。

放射線の作用を高める目的

一部の抗がん剤には、がん細胞を放射線の影響を受けやすくする作用が期待されるものがあります。

抗がん剤治療と放射線治療を同じ時期に行う治療は、化学放射線療法と呼ばれます。

化学放射線療法は、がんの種類や病期によって標準的な治療として行われる場合があります。

放射線治療と抗がん剤治療を同時に行う場合と、一方を終えてからもう一方を行う場合があります。

手術を含めて組み合わせる場合

手術、放射線治療、抗がん剤治療を組み合わせて行うこともあります。

併用によって副作用が強まる場合がある

放射線治療と抗がん剤治療を併用すると、それぞれを単独で行う場合よりも、副作用が強く現れることがあります。

副作用や全身状態に応じて、抗がん剤の投与量や放射線の照射計画、治療スケジュールを調整することがあります。

放射線治療と抗がん剤治療の順番はどのように決まる?

放射線治療と抗がん剤治療を両方行う場合、どちらを先に行うか、同時に行うかは病状によって異なります。

抗がん剤治療を先に行う場合

次のような目的で、抗がん剤治療を先に行うことがあります。

抗がん剤によって病巣が小さくなったかを確認し、その結果をもとに次の治療を検討する場合もあります。

放射線治療を先に行う場合

局所の病巣を早く治療する必要がある場合は、放射線治療を先に行うことがあります。

症状や緊急性の高い病巣を放射線治療で抑えた後、抗がん剤治療を開始することがあります。

同じ時期に行う場合

化学放射線療法では、放射線治療と抗がん剤治療を同じ時期に行います。

一部の抗がん剤によって放射線の作用を高めることなどが目的ですが、副作用も強く現れる可能性があります。

すべてのがんや患者さんが、同時併用の対象になるわけではありません。

治療の順番を決める主な要素

どちらの治療を受けるか判断するポイント

放射線治療と抗がん剤治療のどちらを行うかは、患者さん本人が二者択一で決めるものではありません。

がんの種類や病状をもとに、主治医、腫瘍内科、放射線治療科、外科などが治療方針を検討します。

主な判断材料には、次のようなものがあります。

放射線治療の適応については、放射線治療科へ相談し、過去の画像や治療歴を確認したうえで判断する場合があります。

放射線治療科へ相談しても、病巣の位置や過去の照射歴などによっては、治療が難しいと判断されることがあります。

放射線治療と抗がん剤治療について主治医へ確認したいこと

治療内容の説明を受けたときは、それぞれの治療を何のために行うのかを確認しましょう。

診察時に質問事項をメモし、家族などに同席してもらう方法もあります。

放射線治療と抗がん剤治療の相談先を選ぶ

別の医療機関へ相談する場合は、何について意見を聞きたいのかを明確にしましょう。

放射線治療について相談したい場合

放射線治療について相談するときは、次のような点を確認します。

抗がん剤治療について相談したい場合

抗がん剤治療について相談するときは、次のような点を確認します。

両方の治療を検討する場合

放射線治療と抗がん剤治療の両方を検討するときは、それぞれの診療科が連携できる体制も重要です。

治療法別に相談できる医療機関を確認する

放射線治療と抗がん剤治療では、治療する範囲や役割が異なります。

画像で確認できる病巣への放射線治療を相談したいのか、全身に働きかける抗がん剤治療や治験を相談したいのか、自由診療の免疫療法も含めて検討したいのかを整理しましょう。

医療機関 主な治療 診療区分 相談しやすい内容
クリニックC4 トモセラピー 自由診療 画像で確認できる再発・転移病巣への放射線治療
Ginza Phoenix Clinic WT1-樹状細胞療法 自由診療 自由診療の免疫療法を検討したい場合
がん研有明病院 抗がん剤治療・治験 保険診療 標準治療、薬物療法、治験を相談したい場合

医療機関へ相談しても、必ず希望する治療を受けられるわけではありません。

治療の適応は、がんの種類、病巣の位置や広がり、過去の治療歴、全身状態などをもとに医師が判断します。

放射線治療と抗がん剤治療は目的に応じて使い分ける

放射線治療は、主に放射線を照射した特定の病巣へ働きかける局所治療です。

抗がん剤治療は、投与した薬が血液を通じて全身へ運ばれ、複数の病巣や画像では確認できないがん細胞へ働きかけることを目的とする場合があります。

両治療は、どちらが優れているかで比較するものではありません。がんの種類、病期、病巣の位置や広がり、治療の目的に応じて、単独または組み合わせて行います。

放射線治療の副作用は照射した部位を中心に現れやすく、抗がん剤治療では全身に副作用が現れる場合があります。ただし、副作用の種類や程度は治療方法や患者さんの状態によって異なるため、どちらが強いかを一律に判断することはできません。

また、転移がある場合でも、症状の原因となる病巣や一部だけ進行している病巣に対し、放射線治療を検討することがあります。

治療の説明を受けたときは、放射線治療と抗がん剤治療がそれぞれどの病巣を対象としているのか、なぜ両方を行うのか、どの順番で行うのかを主治医に確認しましょう。

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自由診療|放射線療法
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画像引用元:Ginza Phoenix Clinic公式HP
(https://gpc.clinic/)

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画像引用元:がん研有明病院公式HP
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電話番号 03-3520-0111(大代表)
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